気候変動・環境保護活動
■ CO2排出量トレンド
Scope 1およびScope 2 由来のCO2排出量
CO2排出量は、長期的な目標値を設定して継続的に削減に努めています。Scope1およびScope2由来の過去4年間のトレンドを以下に示します。2021年度のナガセ医薬品株式会社(現伊丹工場)の吸収合併や、2022年度の摂津の高薬理新棟の稼働開始等が影響し、CO2排出量は徐々に増加しています。また2023年度は増産等の影響により2022年度に比べ約6%増加しました。一方、CO2削減の取り組みのひとつとして、高効率設備の導入を推進しており、この取り組みによる2023年度の削減効果は、約490tーCO2でした。
Scope 3由来のCO2排出量
Scope 1やScope 2由来に比べて、Scope 3由来のCO2排出量は大きく、削減にはサプライヤーとの協力体制を構築するなど、これからの取り組みが必要と考えています。(サプライチェーンマネジメントを参照)
Scope 1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope 2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出
Scope 3:Scope 1、Scope 2以外の関節排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
全社のCO2排出量のトレンド(単位 t-CO2)
各拠点のCO2排出量のトレンド(単位 t-CO2)Scope 1+2 | ||||
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拠点名 \ 年度 |
2020 |
2021 |
2022 |
2024 |
摂津工場 |
9,191 |
10,270 |
9,787 |
11,810 |
金ケ崎工場 |
29,286 |
29,823 |
31,598 |
32,151 |
徳島工場 |
3,266 |
5,393 |
5,025 |
4,693 |
伊丹工場 |
(3,861) |
4,389 |
4,051 |
4,886 |
● 今後の取り組み
2024年度は摂津工場の電力を再生可能エネルギーに切り替えました。その他の拠点も計画的に切り替えを実施していきます。
■ 環境保護活動(生物多様性の保持、天然種の保護・再生)
環境保護活動、生物多様性の保持に寄与する取り組みの一つとして、SUNTORYと協働して全拠点にオリジナルの自動販売機を展開しています。SHIONOGIグループ油日植物園の「絶滅危惧種や薬用の植物などの保全管理」※1やシオノギヘルスケア株式会社の「昆布の森_再生PJ」※2の取り組みを自動販売機にデザインすることにより「見える化」し、日常のふとした瞬間に従業員が環境保全を考えることで意識向上を図ります。また自動販売機の売り上げの一部を関連する外部環境保護団体へ寄付し、社会課題解決へ貢献します。
- ※1油日植物園では、1000種を超える絶滅危惧種や希少植物等の保全に取り組んでいます。また、種の保全が危ぶまれる植物を生息域外保全や園内 で繁殖させた後、自生地に復帰させる試みにも着手しています。
- ※2シオノギヘルスケアでは2019年より、天然から養殖ガゴメ昆布へ製品原料の切り替えを開始し、2024年までに天然ガゴメ昆布の使用量ゼロを目指しています。養殖ガゴメ昆布の品種改良を行い、育てる仕組みをつくり、循環させることで、天然ガゴメ昆布の保護・再生に取り組んでいきます。
☆油日植物園オリジナル☆「絶滅危惧種や薬用の植物などの保全管理」
☆シオノギヘルスケアオリジナル☆「昆布の森_再生PJ」
TOPICS
■ 連続生産
医薬品の連続生産とは、生産プロセスが稼働している期間中、連続的に原料又はそれらの混合物を生産工程内に供給し、生産物を連続的に生産する方法です。一般に、医薬品(製剤)の連続生産が求められる理由としては、①開発段階でのスケールアップ検討が不要であるため原薬使用量を削減でき、製法開発期間も短縮できること、② Process Analytical Technology (PAT)等を駆使して生産時の状況をモニタリングできるためより信頼性の高い生産が可能であること、③ ロットサイズを柔軟に変更可能であり医薬品の安定供給確保や製品廃棄量の削減に寄与できること、④ バッチ生産と比べて小さな設備で生産が可能であるため省スペース、省エネルギー、CO2排出量の削減が可能であること、等が挙げられます。
錠剤を生産するプロセスにおいて、造粒工程から打錠工程の5つの工程を連続生産とした事例を紹介します(下図)。シオノギファーマでは、実際にこれら5つの工程の連続生産の承認申請を行い、承認を得て実用化に成功しています。
● 原薬使用量の削減
当社の例では、連続生産とすることで、スケールアップ検討する際に必要な原薬量を大きく削減できました(下図)。これは、削減できた原薬量に相当する原薬生産工程でのCO2排出量の削減にもつながります。
バッチ生産 と 連続生産 の比較(原薬の使用量)
● CO2排出量の削減
原薬量削減以外にも、連続生産では生産過程で使用するエネルギーを削減できます。当社内の検討結果から、連続生産とバッチ生産を比較して、26%のCO2削減効果が認められています。さらに省スペースによる建築資材の削減からも環境負荷が少ないといえます。
バッチ生産と連続生産の比較(省スペースへ)
● 連続生産設備
連続生産のために治験薬生産用設備(左下画像)と商用生産設備(右下画像)を有しています。
● 今後の計画
連続生産方式によるさらなる自社製品の承認取得や、新たな受託生産の獲得を目指しています。