気候変動・環境保護活動

CO2排出量トレンド

 

Scope 1およびScope 2 由来のCO2排出量トレンド

 CO2排出量は、長期的な目標値を設定して継続的に削減に努めています。Scope1およびScope2由来の過去3年間のトレンドをお示しします。ナガセ医薬品株式会社の吸収合併により伊丹工場のCO2排出量が2021年度から加算されました。その影響を差し引いた場合、CO2排出合計量は、2020年度から2021年度は約9%増加し、2021年度から2022年度では約2%増加しました。高薬理新棟の稼働開始や受託製造の増加によりCO2排出量が増加したと考えています。一方、CO2削減の取り組みのひとつとして、高効率設備の導入を推進しています。この取り組みによる2022年度の削減効果は、約280t CO2でした。

 

Scope 3由来のCO2排出量

 Scope 1やScope 2由来に比べて、Scope 3由来のCO2排出量は大きく、削減にはこれからの取り組みが必要と考えています。(サプライチェーンマネジメントを参照)

 

Scope 1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope 2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出

Scope 3:Scope 1、Scope 2以外の関節排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

全社のCO2排出量のトレンド(単位 t-CO2

 

各拠点のCO2排出量のトレンド(単位 t-CO2)Scope 1+2

拠点名 \ 年度

2020

2021

2022

摂津工場

9,191

10,270

9,787

金ケ崎工場

29,286

29,823

31,598

徳島工場

3,266

5,393

5,025

伊丹工場

(3,861)

4,389

4,051

● 今後の取り組み

 高効率設備の導入等によるエネルギー使用量の削減に取り組むとともに、再生可能エネルギー由来の電力への切り替え等も検討しています。

 環境保護活動(生物多様性の保持、天然種の保護・再生)

 

 環境保護活動、生物多様性の保持に寄与する取り組みの一つとして、SUNTORYと協働して全拠点にオリジナルの自動販売機を展開しています。SHIONOGIグループ油日植物園の「絶滅危惧種や薬用の植物などの保全管理」※1やシオノギヘルスケア株式会社の「昆布の森_再生PJ」※2の取り組みを自動販売機にデザインすることにより「見える化」し、日常のふとした瞬間に従業員が環境保全を考えることで意識向上を図ります。また自動販売機の売り上げの一部を関連する外部環境保護団体へ寄付し、社会課題解決へ貢献します。

 

  1. ※1
    油日植物園では、1000種を超える絶滅危惧種や希少植物等の保全に取り組んでいます。また、種の保全が危ぶまれる植物を生息域外保全や園内 で繁殖させた後、自生地に復帰させる試みにも着手しています。
  2. ※2
    シオノギヘルスケアでは2019年より、天然から養殖ガゴメ昆布へ製品原料の切り替えを開始し、2024年までに天然ガゴメ昆布の使用量ゼロを目指しています。養殖ガゴメ昆布の品種改良を行い、育てる仕組みをつくり、循環させることで、天然ガゴメ昆布の保護・再生に取り組んでいきます。

☆油日植物園オリジナル☆「絶滅危惧種や薬用の植物などの保全管理」

☆シオノギヘルスケアオリジナル☆「昆布の森_再生PJ」

TOPICS

 

連続生産

 

 医薬品の連続生産とは、生産プロセスが稼働している期間中、連続的に原料又はそれらの混合物を生産工程内に供給し、生産物を連続的に生産する方法です。一般に、医薬品(製剤)の連続生産が求められる理由としては、①開発段階でのスケールアップ検討が不要であるため原薬使用量を削減でき、製法開発期間も短縮できること、② Process Analytical Technology (PAT)等を駆使して生産時の状況をモニタリングできるためより信頼性の高い生産が可能であること、③ ロットサイズを柔軟に変更可能であり医薬品の安定供給確保や製品廃棄量の削減に寄与できること、④ バッチ生産と比べて小さな設備で生産が可能であるため省スペース、省エネルギー、CO2排出量の削減が可能であること、等が挙げられます。

 錠剤を生産するプロセスにおいて、造粒工程から打錠工程の5つの工程を連続生産とした事例を紹介します(下図)。シオノギファーマでは、実際にこれら5つの工程の連続生産の承認申請を行い、承認を得て実用化に成功しています。

● 原薬使用量の削減

 当社の例では、連続生産とすることで、スケールアップ検討する際に必要な原薬量を大きく削減できました(下図)。これは、削減できた原薬量に相当する原薬生産工程でのCO2排出量の削減にもつながります。

 

バッチ生産 と 連続生産 の比較(原薬の使用量)

● CO2排出量の削減

 原薬量削減以外にも、連続生産では生産過程で使用するエネルギーを削減できます。当社内の検討結果から、連続生産とバッチ生産を比較して、26%のCO2削減効果が認められています。さらに省スペースによる建築資材の削減からも環境負荷が少ないといえます。

 

バッチ生産と連続生産の比較(省スペースへ)

● 連続生産設備
 連続生産のために治験薬生産用設備(左下画像)と商用生産設備(右下画像)を有しています。

● 今後の計画
 連続生産方式によるさらなる自社製品の承認取得や、新たな受託生産の獲得を目指しています。