AMR管理
■ 抗菌薬の排出管理
AMR(薬剤耐性Antimicrobial Resistance)とは、細菌(病原体)が抗菌薬の使用に伴い変化し、抗菌薬の効果が小さくなることをいいます。AMRが起こる要因としては、抗菌薬の不適正使用や過剰投与が大きいと言われていますが、抗菌薬製造工場からの環境排出も耐性菌を生み出す要因の1つとして考えられており、SHIONOGIグループの環境マテリアリティ*1に制定するなど、グループ全体での取り組みを行っています。
AMR管理の基本的な考え方は予測環境中濃度(PEC、Predicted environmental concentration)を工程における抗菌薬のロス量または排水の実測データから求め、予測無影響濃度(PNEC、Predicted no-effect concentration)と比較することにより、「PEC / PNEC < 1」であることを確認します。
シオノギファーマの抗菌薬製造の主力工場である金ケ崎工場においては、長年に亘り、抗菌薬を生産する企業の責任として、抗菌薬の環境排出を厳格に管理してきました。金ケ崎工場では、複数のセフェム系・カルバペネム系抗生物質の原薬及び製剤を生産していますが、これらはアルカリにより容易に分解されるため、排水をアルカリ処理により不活化し、その後、酸で中和した後に工場外に排出しています。この失活排水について高速液体クロマトグラフ法で測定し、実測データからPECを求めます。分析結果の一例を下記に示しますが、いずれも当該化合物のピークは検出されていません。
シオノギファーマでは、金ケ崎工場を含む全生産拠点の抗菌薬の生産排水について、抗菌薬の排出管理の取り組みを行っており、AMR Industry Allianceが定める「Antibiotic manufacturing standard」*2に基づいて進めています。
- ※AMR Industry Alliance は、抗菌薬耐性等のリスク抑制を目的として、多くの世界中の抗菌薬関連企業が協働する団体です。
化合物名 |
2019年 |
2022年 |
2023年 |
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セフカペンピボキシル |
N.D. |
N.D. |
N.D. |
フロモキセフナトリウム |
N.D. |
N.D. |
N.D. |
セフィデロコル |
N.D. |
N.D. |
N.D. |
N.D.:検出せず