抗菌薬の排出管理

 

 AMR(薬剤耐性Antimicrobial Resistance)とは、細菌(病原体)が抗菌薬の使用に伴い変化し、抗菌薬の効果が小さくなることをいいます。AMRが起こる要因としては、抗菌薬の不適正使用や過剰投与が大きいと言われていますが、抗菌薬製造工場からの環境排出も耐性菌を生み出す要因の1つとして考えられており、SHIONOGIグループの環境マテリアリティ*1に制定するなど、グループ全体での取り組みを行っています。

 

 AMR管理の基本的な考え方は、予測環境中濃度(PEC、Predicted environmental concentration)を、工程における抗菌薬のロス量または排水の実測データから求め、予測無影響濃度(PNEC、Predicted no-effect concentration)と比較することにより、PEC / PNEC すなわちRQ(Risk Quotient)が1未満であることを確認します。

シオノギファーマの抗菌薬製造の主力工場である金ケ崎工場においては、長年に亘り、抗菌薬を生産する企業の責任として、抗菌薬の環境排出を厳格に管理してきました。金ケ崎工場では、複数のセフェム系・カルバペネム系抗生物質の原薬及び製剤を生産していますが、これらはアルカリにより容易に分解されるため、排水をアルカリ処理により不活化し、その後、酸で中和した後に工場外に排出しています。この失活排水についての2024年度のAMR評価の結果、いずれの抗菌薬ともRQは1未満と適正な結果でした。

 このような取り組みが認められ、2025年11月、金ケ崎工場の生産品目である抗菌薬原薬 Cefiderocol及びその注射用製剤Fetroja並びにFetcrojaは、BSI(英国規格協会、British Standards Institution)より「BSI Kitemark™ for Minimized Risk of AMR」の認証を受領しました*2。国内の抗菌薬製造施設に対する認証取得は日本初となります。また、1つの施設において、特定品目の原薬製造および製剤製造の両工程に対する認証を取得したのは世界でも2例目です。

 

 シオノギファーマでは、金ケ崎工場を含む全生産拠点の抗菌薬の生産排水について、抗菌薬の排出管理の取り組みを行っており、AMR Industry Allianceが定める「Antibiotic manufacturing standard」*3に基づいて進めています。

 

 

 

  • AMR Industry Alliance は、抗菌薬耐性等のリスク抑制を目的として、多くの世界中の抗菌薬関連企業が協働する団体です。