2021/06/08

口腔内崩壊錠 (OD錠) の製造技術のご紹介

 シオノギファーマ株式会社 (以下、シオノギファーマ) は、高い錠剤硬度を有しつつ、口腔内で速やかに崩壊する独自のOD錠 (Orally Disintegrating Tablet) 製造技術を保有しております。本技術の適応により、薬を水なしでも服用可能となるため、患者様の服薬負担の軽減および服薬アドヒアランスの向上が期待でき、高付加価値な製品開発が可能となります。

OD錠のメリットとデメリット

 口腔内崩壊錠:OD錠とは、その名のとおり口の中で速やかに崩壊し、高齢者の嚥下困難な患者様が服薬しやすい剤型とされています。水がなくても服用できることから、「いつでも、どこでも服用が可能」という大きな特性を持ち、嚥下困難な患者様や水分制限が必要な場合において、特に有用な剤型の一つです。一方で、OD錠には優れた速崩性・速溶性が求められるため、一般的な錠剤と比較して硬度が低くなることが多く、錠剤の割れ・欠けで課題を抱えることも少なくありません。また、口腔内で錠剤が崩壊・溶解するため、原材料のにおいや味、ざらつきを強く感じ、不快感を与える可能性もあります。

シオノギファーマ独自のOD錠技術のご紹介

 シオノギファーマのOD錠は、有効成分・結晶セルロース・無機賦形剤・カルメロース(崩壊剤)・0.8%以下の滑沢剤を配合した錠剤で、弊社の特許技術によるものです*1。本技術を適応したOD錠は、下図のとおり、他社OD錠(製品A、B、C)に比べて、破断強度*2(錠剤硬度)が高いにもかかわらず、少量の水で速やかに膨潤・崩壊するという相反する特性を両立しているのが最大の特徴で、上述の硬度が低く、錠剤の割れ・欠けが生じやすいという一般的なOD錠の課題を克服することができます。この破断強度とは錠剤の硬度を評価する指標の一つで、一般に2N/mm2以上あれば十分とされています*3。さらに、本技術にシオノギファーマの外部滑沢打錠技術*4を組み合わせることで、これら2つの特性(錠剤硬度と崩壊時間)を向上できます。

 また、本技術は造粒や乾燥などの製剤の主要な工程を省ける「直接粉末圧縮打錠法」を適用していますので、高い生産性を有し、低コストでの製造が可能です。

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*1 口腔内崩壊錠技術(特許公報 特許第5366233号)

*2 破断強度=錠剤硬度(N)/錠剤の破断面積(mm2)

*3 北森信之、医薬品製剤化方略と新技術、シーエムシ出版、p44-45(2007)

*4 外部滑沢打錠技術のご紹介

 OD錠は口の中で速やかに崩壊することから、有効成分の味(特に苦味)を瞬時に感じ、患者様が不快になり、服薬アドヒアランスが低下する可能性があります。シオノギファーマはこの課題を解決するため、有効成分を高粘度の高分子溶液に懸濁させて、湿式造粒することで、有効成分の苦味をマスキングする特許技術を保有しています*5。一般に、有効成分の苦味を高分子の添加剤等で被覆してマスキングすると、マスキングした粒子が大きくなり、口腔内でざらつき・異物感を感じる場合がありますが、本技術ではマスキングした粒子の大きさを約250 µm以下にすることで、口腔内でのざらつき・異物感を感じにくくしています。この技術により、OD錠特有の課題を解決し、患者様の服薬アドヒアランス向上が期待できます。

*5 苦味マスキング技術(特許公報 特許第5569916号)

 シオノギファーマは、お客様から信頼される 「技術開発型モノづくり企業(CDMO*6)」 となることをミッションとして掲げ、2019年4月1日より事業を開始しました。原薬の製造法開発および製剤処方開発から商用生産に加え、分析法開発や医薬エンジニアリング技術による設備設計サポートなどを含めた 「フルレンジサービス」 をワンストップでご提供できる体制を整えております。

 お客様のご要望に応じた受託サービスやソリューションサービスの提供を行っていますのでお気軽にご相談ください。

*6 CDMO:Contract Development Manufacturing Organization